「修羅場でなければ経験ではない」 ー マクドナルド再建人

Business, interview2017.10.17

足立光様インタビュー

 

こんにちは!Comfort Zone広報部のマービンです!

 

この度、広報部は、

日本マクドナルド株式会社

上席執行役員 マーケティング本部長(CMO)である

足立光様に独占インタビューさせて頂きました。

 

 

 

【ご経歴】

 

一橋大学 商学部を卒業後、P&Gのマーケティング本部に入社し、日本人初の韓国赴任を経験。

 

大手外資系コンサルティングファームのブーズ・アレン・ハミルトン、ローランドベルガーを経て、ドイツのヘンケルグループに属するシュワルツコフヘンケルで社長を務める。

 

赤字続きだった業績を急速に回復させ、2007年よりヘンケルジャパン取締役 シュワルツコフ プロフェッショナル事業本部長を兼務。

 

2011年からはヘンケルのコスメティック事業の北東・東南アジア全体を統括。その後はワールド執行役員 国際本部長を勤め、2015年より現職。

 

 

 

【足立さんインタビュー概要】

Q:今回でComfort Zoneが主催する足立さんのイベントは2回目となりますが、足立さんからみてComfort Zoneというビジネスサロンはどう映りましたか?

 

A:俗に言う「意識高い系の学生」って言うのはこんなにも多くいるのかと素直に驚きました。

限られた時間を使ってこういった講演を聞きに来ることは非常に立派であるし、そういった環境を提供しているComfort Zoneも素晴らしいと思いました。

 

 

Q:ご講演時に足立さんは、『マーケティングはロジックで勝てる部分は限られている。感覚やセンスも必要である。』と仰っていましたが、これはどういう事でしょうか?

A:ロジックはもちろん必要です。ビジネスをする上で、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングは、基本として大切です。

ただこれはあくまで基本なので、これだけでは差別化にならないんです。その差別化になる部分が、センス・感覚ですね。

 

 

Q:センスとはどうやって身につくものですか?

 

A:これは「たくさん素振りすること」しかないです。いろんな経験をすることですね。いろいろな経験をすれば、経験値を生みます。その経験値の積み重ねがセンスとなります。

マーケッターとして、流行り物はすぐ、ひととおり試すようにしています。いろいろやって、今でも続けているのは、最近ですとポケモンGOやオセロニアですかね。流行っている理由にも興味を持って探求します。

マーケティングとは、人の心を動かすことなので、面白みへの探求は欠かしません。経験もただの経験ではダメで、数と幅と深さが必要です。

数とはシンプルに経験の数、幅とは様々な異なる分野での経験、深さとはどれだけそれぞれの経験を深掘りできるかというところですね。深さには一つ重要な要素があって、それは修羅場です。

 

どういうことかと言いますと、経験は「大変」でなければ経験値にはなりません。私はこれを、修羅場でなければ経験ではない、と言っています。

 

人は大変な経験をしないと、あまり学びません。自分の普段の力で出来てしまうような経験では、あまり新しい経験値を得ることも、伸長もありません。

自分にとって全く初めてのこととか、ほかの人が出来なかった難しいこと、誰もやったことがないこと等をやることで経験値は増えていくものであって、そういった「大変」な経験をすることが実はとても大切なんです。

 

 

 

 

Q:足立さんがマクドナルドにいなくなってしまうと、マーケティングのセンスの部分の軸がぶれ、また衰退してしまうかもしれないと思うのですが、そこはどうなのでしょうか?

 

A:それはないですね。経営陣のもっとも重要な役割は、『自分(たち)がいなくても回る組織を作ること』です。もちろんマクドナルドでは、僕がいなくなっても崩れないような仕組みづくりをしています。そもそも、いなくなるつもりもないし(笑)。

 

 

Q:つまりそれは足立さんのセンスをロジック化しているということですか?

 

A:センスをロジック化と言うのは、少しニュアンスが違うかもしれません。「誰かの経験値を、だれでも実行できるように、形式知化する」ことなんです。

例えば、そもそもマクドナルドキャンペーンを打つのは話題化のためなんですが、その話題化のための12の方程式みたいなものも既に作成して、随時改訂していくようになっています。自分がもしマクドナルドにいなくなっても、そういった「形式知化して共有した」、組織としての経験値は変わりません。

 

 

 

Q:足立さんが大学生だった頃に考えていた将来の展望や夢などはございましたか。

A:夢とか展望とか、特に無かったですね。自分は目の前のことを、ただ一生懸命にやってきただけなんですよね。

 

 

Q:いまの大学生に足らない能力は何だと思われますか。

 

A:まずは何より、英語の能力ではないでしょうか。もう何年も前から、かなりグローバルな時代になっていて、英語はビジネスを行う上で必須(基礎)の能力のひとつになっています。

 

これから、ますます英語が必要になるであろう理由は2つあって、1つ目は、世界に日本が占める市場規模の割合(つまりは市場としての存在感)がどんどん縮小している今、海外の市場も含めてビジネスを行うようになることは必要不可欠だということ。そして2つ目は、インターネット上の情報の7割が英語と中国語という事実。英語で読み書きが出来ないというだけで、インターネット上の半分以上を利用できないって言う情報格差が生まれてきてしまいます。

一番時間がある学生のうちに、英語は絶対勉強するべきだと思います。

 

次に、スピード感です。日本の学生やビジネスマンは圧倒的にのんびりしすぎています。世界のエリートと対等に戦おうとするなら、本来は35歳で社長や役員になるのを見据えたスピード感で仕事をしなければいけません。グローバル企業とかを見ると、社長が30代なんて普通です。

 

海外のライバルたちはそういったスピード感でやっているから、日本の若者はどんどん差をつけられてしまうんだよね。

 

 

 

Q:就職をする学生に伝えたいことはありますか。

 

A:よく人気企業と呼ばれるものがありますけど、僕はそれには全く意味はないと思っていています。

なぜかというと、30年間市場の中で光り続ける企業や業界なんて、1つもないからです。戦後は鉄鋼や造船がベストな時代で、そのあとは自動車や電機メーカーに移り、次に金融が全盛の時代になり、今はここ10年くらいはインターネットやバイオの時代が来ています。ここ4,50年だけで調子の良い企業や業界というのは、こんなにも移り変わっているです。

だから今の若者が就職したがる人気企業や業界というのは、数十年経ったときには落ち込んでいる企業や業界になる可能性が非常に高いということです。

人気企業に就職する学生は、その会社や業界は、将来先細りしていくって理解しておいてほしいです。

 

 

 

 

Q:足立さんの仕事をする上での目的は何でしょうか。

 

A:学生の頃に自己分析をした結果、周りの人が楽しそうにしていたり、幸せそうにしているのが、自分の一番の幸せだという結論に至りました。より多くの人を幸せにしたいと言うのが私のビジネス上の目的です。

だからこそ、ベンチャー企業に就職すると言う選択肢はありませんでしたね。

理由はたった一つ、ベンチャー企業の社長よりも大手の企業の部長の方がよっぽど世界を動かしているんです。マクドナルドは、お客様だけではなく、関係者や取引先も含めると、関係者のとても多い企業です。より多くの方々の幸せを作り出せるといった点で、マクドナルドで働くことにやりがいを感じています。

 

 

Q:足立さんは何のために生きているのですか。

 

A:毎日楽しく飲むためかな(笑)。自分は震災を二回経験しています。阪神淡路大震災と東日本大震災。その震災で友達や知り合いが多く亡くなって思ったことが、今この瞬間にやりたいことは全部やり、毎日を最高に楽しく生きることが、すごく大事だと感じました。

明日生きている保証もないんだから、今この瞬間をみんなで最高に楽しむっていうのが僕の生きている理由かな。

 

 

 

Q:そういった人生の目的と言うのを考え始めたのはいつ頃ですか。

 

A:大学の頃のゼミの先生との出会いが大きいですね。その先生は当時の私たちに、自分は何のために生きているのか、将来どんなことをしたいのか、などを書かせました。

さらにそのゼミの先生は、卒業20年後に、その学年を全員ハワイの別荘に呼んで、20年前になりたかった自分になれているかそれぞれに検証して発表させるんですよ。そういったフォローアップもしてくれる良い先生でした。

 

 

 

Q:『周りの人の幸せが自分の幸せ』と言うのは足立さんのどういったご経験から、来たものですか。

 

A:若いころからイベントやパーティーを主催することが多かったです。その帰りに、参加者が喜んだ顔をしてお帰りいただくのを見るのが嬉しくて。

未だにパーティーの幹事なんかはやることが多くて、以前に在籍していたP&GのOB会なんか、もう19年くらい連続で僕が幹事をしています。

自分が幹事とかをいろいろやるのは、根本的に、人とたくさん会った方が、いろんな経験値を得ることができる、と信じていることが理由です。特に新しい経験値や見識を得るためには、自分が普段会わないような人と積極的に会うのがいいと思います。

 

 

Q:足立さんの座右の銘は何ですか?

A:PSP。これが僕の座右の銘ですね。

まずP、これはPrideのPです。ビジネスマンは自分の名前がブランドなんですよ。この人に仕事を任せたらどうなるかっていう印象が、個人のブランドなんですよね。

そういうブランドって、色々な経験や信頼の積み重ねでしか出来なくて、崩れる時は一瞬で崩れるので、仕事の結果にはこだわっています。足立光というブランドの価値を高めるために毎日頑張っています。

SはSpeedのSです。時間は有限なので、何に対してもスピードは大事にしています。意思決定も早いし、話すスピードも早いし(笑)、いかに短時間で多くのことを出来るかってところは、結構こだわっていますね。

最後のPはPassionのPです。人は頑張っている人を応援したくなる生き物なので、僕はすごく一生懸命やっている感を出しています(笑)。内に秘めた情熱とかは必要ないと思っていて、プラスの感情は積極的に表に出すようにしています。目標達成の際には仲間と一緒に喜びあうことで、次のモチベーションにつなげています。

 

 

Q:普段足立さんはどういったところにお金を使われているのですか?

 

A:飲み代かもしれませんね(笑)

やっぱり人と会うのが相当大事だと思っているので、出来る限り多くの人に会おうとするし、毎日いろんな人と食事をしたりしています。

仕事じゃないところで、いろいろな企業の偉い方々と接点を持つのは非常に良いことで、飲みじゃなくてテニスでもハイキングでもいいですが、そういったところで知り合った方々は、ビジネスの付き合いではなく、友達なんですよね。

 

これが結構大事で、仕事相手が友達だったら、最初から個人としての信頼があるので、結構話が早く進んだりします。

また、そういったプライベートの場だと、知り合いの知り合いにもお会いできたりして、人脈も広がりやすいんですよね。

堀江さん(ホリエモン)も一晩で10軒ハシゴしようとか、自分と同じようなことを言ってるね(笑)

 

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